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化粧品と海洋汚染については、これまでもEco Beauteで触れてきました。(下記記事参照)
海洋汚染といえば、プラスチック汚染に関する問題が主流で、グローバルで大きな問題になっているので、プラスチック、マイクロプラスチックなどが注目されがち。たしかにそれらを排除していくことは生物多様性の観点でも重要なのですが、もう一つ生物多様性にかかわる重要なテーマがあります。それは海のサンゴです。
今回は、サンゴというものについて、またコスメと環境との関わりについて、お話します。
サンゴと気候変動
サンゴはよく植物と間違えられますが実は動物で、やわらかい体から成長するにつれ、石灰質の固い骨を形成します。生き物の死骸などが長い年月をかけて積み重なってつくられた地形をサンゴ礁といいます。サンゴ礁の成り立ちは、諸説ありますが、火山活動によって隆起した部分に生きたサンゴが貼りつき、成長していったものです。サンゴの役割としては、ほかの生物の産卵場所や住処になる・死んだサンゴがもつ細菌で海をきれいにするなどがあります。海でなくてはならない生物であるにも関わらず、世界的にはサンゴは絶滅危惧種となっています。
1990年代からサンゴが白や青、ピンクになってしまう現象が世界各地で起こりました。これを「白化(はくか)」といい、白化の原因は、海水温上昇、サンゴと共生している共生藻が喪失もしくは色素が失われることにより、本来サンゴがもっている体の色が見えてしまったことによるものです。海水温上昇については、気候変動が一番の原因ですよね。国連が2020年に発表した報告書によると、このまま地球温暖化が進めば、すべてのサンゴ礁で白化が起こると予想されています。つまり、それは絶滅を意味しています。森の植林活動のように、サンゴを人工的に増やす取り組みも行われていますが、生物多様性でよくいわれれるのが、一度失われたものは二度と戻ることはないのです。こういったことから、気候変動対策は急務になっています。
コスメとサンゴ

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地球温暖化のほかに、サンゴの白化の原因として、UVクリームに含まれる紫外線吸収剤によるものが報告されています。紫外線吸収剤の一部が白化を及ぼしていることで、あるハワイのビーチでは、サンゴの白化防止のためのみならず、UVクリームなどにふくまれるプラスチック原料を排除するため、それらが配合されたUVクリームの使用が禁止されています。国連も最近、これについて警笛を鳴らしています。

上記にかかれている成分により(図の左側にあるボトル内に記載の化学成分)、サンゴの白化だけでなく、これによればいくつかの生態系異常を生んでしまいます。
- 緑藻が成長や光合成を損なう
- サンゴの白化、DNA損傷、変形や死亡
- ムール貝の異常
- ウニへの免疫系・生殖系損傷による変形
- 魚の生殖能力と繁殖力を低下させ、雄魚の非雄性の特徴を引き起こす
- イルカは組織に蓄積し、若いイルカへ伝播
このように様々な生態系・環境破壊が起こっています。
これらの成分が配合されているUVクリームを使用するときは、海に入る前に洗い流したり、またはこういった成分が配合されているUVクリームを使用しないようにすることが大切です。すでに日本では、UVクリーム多用したり海に入る時期ではなくなっていますが、マイクロプラスチックの件同様、UVクリーム選びには最新の注意が必要ですね。