昨今サステナビリティの観点で、アップサイクルがすっかりトレンドに。このトレンドは編集部でもかねてより予想はしていましたが、化粧品メーカーというより、(化粧品を製造してメーカーに納品する)OEMメーカーの間で一大トレンドとなっています。この流れは実は、オーガニックコスメの時代からありました。OEMメーカーが海外オーガニック認証を取得した原料や製造品をメーカーに提案しており、この時からある意味メーカーよりも先進的でした。サステナビリティでもまた同じような現象が起きているように感じています。
OEMメーカーは、当然ながら化学の知識が豊富で、製造販売権を持っていない化粧品メーカー(いわゆる化粧品会社)のかわりに製造することができるので、大手や自社工場を持っていない化粧品メーカーは除き、化粧品会社よりも案外OEMメーカーが化粧品を製造していることが多い場合があります。ここで何が起こるかというと、オーガニックしかり、サステナビリティやアップサイクルなどをOEMメーカーが説明しても、化粧品会社に正しい理解や知識がなければ、うまくアピールできていない可能性が生まれるということです。一概にすべてがそうだとはいいきれませんが、実際グリーンウォッシュなどがあふれている以上、正しくアピールできていないのも事実でしょう。
当サイト監修者の長井美有紀によれば、2022年度のサステナブルコスメの市場は、これまで調査してきた中でだいぶ上がってきたようだが、その分ウォッシュはそのままで、さらにウォッシュとは別に”misunderstanding(ミスアンダースタンディング)”が起きていると分析していて、この中にアップサイクルについてもさっそくあがっていました。
アップサイクルの歴史は、実は昔から車のスチールを回収して新しいものをつくるということがありました。最近は、ファッションで廃棄ペットボトルを繊維にしてアパレル製品にするなどが先進事例でしたが、食品の製造・加工時に多く食品廃棄が出てしまうことも問題となっています。このため、食のアップサイクルがいま一大トレンドになっているのです。食品業界では、全製造ラインのうち、サプライチェーン上で食品が40%廃棄されているという現状があり、環境負荷の90%はサプライチェーンに起因といわれています。アップサイクル食品を採用すれば、温室効果ガス700億トンあまりの削減になるといわれています。
欧米では、廃棄物削減が温室効果ガス削減につながるとよく理解されているので、消費者ニーズとしても、「アップサイクル」が気になるキーワードの一つになっています。化粧品の場合は、欧米でも国内でも、親和性の高い食品業界での食品廃棄物を原料にしたりなどが進んでいます。
今後、日本でも様々なアップサイクル製品を目にすることが期待される半面、アップサイクルというものの本質が十分に理解されず、例えば、レモンの抽出物だけでなく皮までを惜しみなく使用することをアップサイクルというなど、”ミスアンダースタンディング”されたアピールも目立ち始めました。環境・サステナビリティの分野では、日本はまだまだ発展途上なため、企業が、アップサイクルしないよりもどの程度環境負荷改善になるのかなど、明確に打ち出す必要があります。と同時に、生活者もそのアップサイクルが“エセ”ではなく、地球環境をどの程度改善しているかを見る必要があります。そのためには、生活者が正しい理解を持ち、商品選定をすることが必要不可欠になります。

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